講演会の報告

新潟県警察友の会のお招きで講演をさせていただいた報告が掲載された会報が届きました。

私は父の影響で日本文化に関心を持ち、空手を学ぶために日本に留学しました。その後、日本の民家をドイツに移築する仕事をしていましたが、1993年に偶然訪れた十日町市竹所に古民家を購入して再生し、そこに夫婦で暮らして25年になります。2軒、3軒と空き家をよみがえらせるたびに、東京からの移住者や若者が増えています。
 私は価値ある古民家をひとつでも多く残したいと思っています。なぜ日本人は宝石(古民家)を捨てて、砂利(ケーキ箱のような近代住宅)を拾うのでしょうか。ドイツには古い建物を勝手に壊してはいけないという法律があり、補助金も多くあります。松代商店街では、十日町市の補助金で古民家の景観を再生し、にぎわいを取り戻そうとしています。日本でも古民家の価値を守ることへの関心が高まり、制度も少しずつ変わってきています。
 日本の伝統的な建築技術は世界一です。古い建築材料の良さを伝え、そこに経験を加えることで、それらの建物が手作りの感覚を保ちながら、現代の生活様式の要請に応えるようにしたいと思っています。建物を注文する人たちに、古民家を守り再生させることが、取り組むべき魅力的な課題だということに、もっと気づいてもらいたいのです。
 「古い家のない街は、思い出のない人と同じです。」
 私の好きな東山魁夷の言葉です。